貸借対照表の見方

社長・経営者の為の入門知識

経営者ナビ >> 決算書の読み方 >> 貸借対照表の見方の解説

◆貸借対照表の見方(目次)

◆貸借対照表の3大項目をまず把握する

 貸借対照表を初めて目にした時に感じることはおそらく貸借対照表の表示項目が複数に分類されている点ではないでしょうか?

 貸借対照表は「バランスシート」とも呼ばれているように必ず左右が等しいバランスとなる財務諸表ですから会計科目が示す項目の意味を理解しないことには貸借対照表を理解することはできません。

 多くの決算書に関する解説書を読んでも「貸借対照表の読み方」がなかなか理解できないのは各項目が等しくなるシンプルな構成の把握が難しい点に問題があります。

◆資産・負債・純資産で構成される貸借対照表

 ここからは貸借対照表の入門的な知識として「資産」「負債」「純資産」という3大項目から貸借対照表の構成を把握していきます。

貸借対照表の3大項目【図】

 尚、上記図に示されている3大項目の上にある「借方」・「貸方」という会計用語は実は曲者であり、この会計用語に慣れるまではどちら側に記載すべきかわからなくなるような経験をお持ちの方も多いかと思います。

 このあたりも、ただ説明を読んで覚えるのではなく、その内容を理解することで今後は「借方」・「貸方」の表記について戸惑うことも少なくなるでしょう。

◆貸借対照表の見方のポイント

 貸借対照表は左右対称の財務諸表となっておりますが、様式は縦型と横型があり一般的に左右対称として見る貸借対照表は横型様式の財務諸表です。

 この貸借対照表を将来的に深く理解する為の覚えやすいポイントは、「右側の貸方の項目」から内容を把握していくことです。

貸借対照表の3大項目【図】

 上記図は簡易的な貸借対照表の見本ですが、前項で解説した3大項目は貸借対照表上では、必ずこの見本のように項目が配置される決まりとなっております。(解りやすいように色分けしてありますので前項の図と見比べてみましょう)

 ですから必ず左右の金額が一致する貸借対照表における3大項目では「資産」「負債」プラス「純資産」の公式が成り立つことがわかります。

【貸借対照表】
資産=負債+純資産

◆貸借対照表の貸方の意味とは?

 貸借対照表の構成は必ず右側に「貸方」、左側に「借方」が配置されます。

 では、この貸方とはそもそも何を意味しているのでしょうか?

 この答えは、貸方は「資金の調達方法を表している」という答えが正解となります。

 会社は営利を目的とする法的な人格を持つ組織ですから、まず営業活動を行うための資金を調達する必要があります。

貸方は資金調達先を示す【図】

 この資金の調達先が銀行や信用金庫などの金融機関からの調達である場合は、図の貸方1の負債欄に記入され、株式による出資や2期目以降の「利益剰余金」などによる資金調達である場合は、「貸方2の純資産欄」に記入される事になります。

 自分が代表取締役となって起業をする場合であっても株式会社の場合は「株式」・「株券」という有価証券を発行し、自分が株主となることで資金調達を行なっている事になります。

 ですから法人の設立時の自己出資金は株主として「純資産欄」に株式の出資金額が記載されます。

◆貸方にある負債と純資産の違い

 貸借対照表の右側の項目、貸方の欄に記載されている「負債」「純資産」はともに資金調達方法を記載している事はここまでに解説してきた通りです。

 では、どちらも資金調達方法を記載しているにも関わらず、なぜ「負債」「純資産」の2つの項目に分類する必要があるのでしょうか?

 貸借対照表の中の右側の貸方の欄が負債と純資産に分けられている最大のポイントは「返済義務の有無」にある点を覚えておく必要があります。

返済義務による分類【図】

 前述した図の貸方2の純資産にあたる株式や利益剰余金による資金調達の場合は、法人側としては資金の返済義務を追わない費用です。

 会社は大きな利益があがった時は株主に対して「配当」を行い利益の還元を行いますが、配当は当期純利益の処分の一つであり法人企業にとっては必須義務ではありません。

 株式を購入する株主は、返済義務のない有価証券を購入することは大きなリスクともなります。

 しかし、配当や株価の上昇を見越して資金を「投資」している訳ですから、資本金は会社にとっては純粋に営業活動につぎ込むことができる優良な運営資金であると捉えることができます。

 対して、貸方1の負債にあたる金融機関からの融資等による資金調達の場合は、借入した借入金の元本の返済はもちろん「利息」を追加した費用を返済する義務があります。

 貸借対照表の同じ貸方の欄に記載されている2つの項目でありながら一方は「純資産」と呼ばれ、もう一方は「負債」と呼ばれている理由は、この返済義務の有無に大きな違いがある為です。

※資金調達によって集めた同じ資金でも返済義務の有無で純資産か負債に分類される

◆貸借対照表の借方の意味とは?

 貸借対照表の構成は「右側に貸方」があり、その貸し方は資金調達の方法、資金調達先による返済義務の有無によって分類されている事は前述してきた通りです。

 では、続いて貸借対照表の左側の項目である借方とは何を意味しているのでしょうか?

 この答えは、借方は「資金の運用方法を表している」という答えが正解となります。

借方は運用方法を示す【図】

◆資金の運用方法は様々

 会社は右側の貸方の項目で調達してきた資金を運用して「利益」を上げることが会社の使命です。

 ですから、会社は調達した資金で商品の仕入れを行ったり、「有価証券」「不動産」などの投資業務を行うなどして資金の運用を行います。

 ですから左側の借方欄は右側の貸方欄で調達してきた資金がどのような形で運用されているのかを示す指標となります。

◆借方を見ると資金の運用先が見えてくる

 貸借対照表は、簡潔に述べると会社の調達資金は右に記載、運用方法や会社が築き上げた資産は左に記載されることになります。

 例えば100万円の資金を調達し、一切の営業活動を行わなかった場合は、右側の貸方欄に「調達資金100万円」、左の側の借方の欄にも「現金100万円」が計上されます。

 しかし、会社が営業活動を行うために100万円の現金の半分にあたる50万円分の製品を仕入れたとします。

 その場合は、以下の図のように借方欄に「現金が50万円」「商品50万円」が計上されることになります。

借方を見ると資金の運用先が見えてくる【図】

 但し、やはり調達してきた資金は100万円と変わりありませんから、「現金」「商品」と記載名目が変化しても貸借対照表の貸方と借方はもちろん同額となります。

 貸借対照表がバランスシートと呼ばれている理由は、貸借対照表がこのように「調達した資金」「資金の運用状況」を示す財務諸表である為なのです。