社長の退職金2大メリット|複数会社の利点

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◆社長の退職金2大メリットの解説

会社を退職する際は、退職金が支払われるのが通常です。

そして自分が経営している会社から退職金を得る場合は社長個人が退職金原資の準備を行う必要があります。

退職金は数ある所得の中でも最上級の節税効果を発揮する収入源です。

勤続年数などの制限もかかり、退職金の原資の準備など長期的思考で準備する必要がありますが、しっかり計画的に退職金を得ることが出来れば、老後の資産形成に大きな影響を与えることになります。

今回は、退職金の節税効果や手取り額、そして複数の会社を運営する利点について確認していきましょう。

目次

◆退職金は節税効果が高いって本当?

経営者を目指している方、また既に会社を経営されている方であれば「退職金は節税効果が高い」という言葉を耳にされたことがある方も多いでしょう。

退職金とは文字通り退職時、具体的には会社を退職する年度に今までの会社への貢献に対する功労金としての意味合いを含めて支給される金銭です。

◆退職金が節税対策として優れている理由

この退職金が節税対策として優れている理由は、退職金には「退職所得控除」と呼ばれる税制上の控除制度が設定されている点。そして、退職金にかかる税金の計算は給与とは分離して課税される「分離課税」となっている点にあります。

退職金の2大メリット【図】

この退職金の利点は、ある程度経営が順調に続き、「経営年数」が長くなってくるほど実に大きなメリットであることが解りはじめます。

◆複数の会社からそれぞれ退職金を貰うことも可能

会社、いわゆる法人を設立するには費用がかかります。

そして、その会社を運営し維持していく為には、会社の規模や業種によって大小はあるものの経営を続ける限り会社を回し続けるための運転資金が必要となります。

このように、多くの資金を投じながら会社を運営していく訳ですが、長く会社を経営し続けることができたならば退職金という大きなご褒美を得ることが可能となります。

そして、この退職金というご褒美は会社が複数ある場合、複数の会社からそれぞれ退職金を貰うことも可能であるという点を是非覚えておきましょう。

◆退職金にかかる税金の種類

退職金にかかる税金は分離課税制度となっていますから給与とは別に「退職金のみを対象」として納税額を算出することになります。

尚、退職金には以下の3種類の税金がかかりますので覚えておきましょう。

【退職金にかかる税金の種類】
①所得税(累進課税制度)
②復興特別所得税(①の2.1%)
③住民税(一律10%)

◆退職金の手取り額はどのくらい?

退職金の計算では、退職金から退職所得控除を差し引いた「退職所得」をまず算出します。

尚、退職金控除額は税法上以下のとおりとなっております。

【退職金控除額の計算】
①勤続年数が20年以下の場合
40万円×勤続年数
②勤続年数が20年超の場合
800万円+70万円×(勤続年数-20)

続いて、退職金控除額を差し引いた金額に50%(半分)をかけ「退職所得」の課税対象額を算出します。

最後に上述した3つの税金を課税対象額から差し引き、残った退職金が「退職金の手取り額」となります。

では、ここでは具体的な計算事例を元に退職金の手取り額を計算してみましょう。

◆退職金の手取り額の計算事例

【役員退職金の計算事例】
★勤続年数36年
★退職金支給額2000万円

会社を立ち上げてから苦節36年、何度も訪れた倒産の危機をも乗り越え遂に現役から退く事になった社長(あなた)。

会社は息子に引き継ぐことに決まり、36年間の功労金として退職金を受け取るケースの事例でイメージしてみて下さい。

この場合は、退職所得控除額が実に1920万円にもなります。

800万+70万×16(36-20)=1920万円

そして課税対象額は退職金から控除額を差し引いた額の50%ですから40万円となります。

①2000万-1920万=80万円
②80万円×50%=40万円

この40万円に3種類の税金をかけ算出した納税額は60,420円となります。

①所得税⇒40万円×5%=2万円
②復興特別所得税⇒2万円×2.1%=420円
③住民税⇒40万円×10%=4万円
①②③合計60,420円

最後に退職金から納税額を差し引いた額を算出し退職金の手取り額を算出します。

20,000,000円-60,420円=19,939,580円

以上によって勤続年数36年、退職金支給額2000万円の場合の役員退職金の手取り額は19,939,580円となることが解ります。

◆複数の会社を運営する利点

会社を経営していると、一人で複数の会社の取締役を兼ねている人に出会うことが出てくるはずです。

様々な方面で多角経営しながら業績を伸ばしている社長や、多くの企業の顧問として在籍している方。

また、時には小規模の会社を複数経営している方に出会う事も出てくるはずです。

会社は一人で幾つでも設立することが可能です。

前項の退職金の事例で紹介した役員退職金が2000万円のケースの場合、社長の退職金として考えると少ないと感じた方が大半であると思います。

しかし、2000万円の退職金であっても複数の会社から退職金を受けとることができた場合は、退職金は実に大きな手取り収入となり得ます。

複数の会社を運営する利点は、会社によって様々な理由があると思いますが、複数の会社から退職金を得ることが出来るという利点はかなり大きなメリットであると言えるでしょう。

◆複数の会社を活用して資産形成を行う

会社の経営の重要なポイントのひとつに、合法的に適切な節税というポイントがあります。

そして適切な節税を行い「手取り収入」を大きくするというテーマにいつか向き合う時が来ます。

複数の会社を活用して資産形成を行うことはあくまでひとつの視点に過ぎませんが、多くの経営者が実践している手法でもあります。

経営者としては最大の手取り収入をもたらす「退職金制度」を活用し、引退後にしっかりと資産形成が出来るプランを事前に構築しておきたいものです。