マイカー通勤手当規定を作成

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◆マイカー通勤手当規定を作成【管理人コラム記事】

会社の業務に伴う営業活動などの際に発生するJRやバスなどの公共機関交通費やガソリン代は必要経費として損金算入することが可能です。

これは、一般的な営業活動経費でもあるため誰もが理解している範囲かと思います。

この場合、基本的に仕訳けは旅費交通費として分類し、よほどの金額にもならない限り全額経費として計上している会社がほとんどであると思います。

尚、営業活動時間内の経費ではなく、通勤に関わる通勤手当も会社としては経費として計上が可能です。

しかも、この通勤手当は個人の収入に該当しない非課税枠というものが存在します。

今回は、私が自分に通勤手当を出せるのかを検討し、通勤手当の作成に向けて動いた経緯や背景などをまとめておきたいと思います。

目次

◆自宅の近くへ引っ越し通勤時間が40分に

話は変わりますが先日、幼稚園時代から同じクラスだった古くからの親友と趣味の車の話で盛り上がりました。

携帯電話で話すこと実に2時間。彼は話が異常に長いのです。

そんな事はさておき、友人は職場から5分の場所に月額5万8千円の2DKの賃貸住宅を借りていたのですが、実家の近くへ引越しを行ったと言っていました。

記憶では実家は職場からかなり遠い位置。何となく通勤時間を聞いてみると、職場までの距離がなんと車で40分強というやや通勤が過酷な環境となっていたことを話していました。

◆マイカー通勤の通勤手当が毎月1万円弱支給

東京などの都心に居住している方であれば、通勤時間が40分なんて当たり前の話です。

むしろ1時間未満であれば近い方で、マイカー通勤ができるのであれば天国のように感じられる人の方が多いかもしれません。

私も東京の武蔵野市に居住していた時は、渋谷オフィスまでの通勤で1時間弱の時間がかかっておりました。それでも割と恵まれている方だったように思います。

しかし地方では、マイカーでの通勤時間が40分というのは結構遠い部類に入ります。

都心のように渋滞も少ないエリアの40分は距離にすると結構長いのです。

尚、友人は新車を購入したこともあり大好きな車で通勤ができ、かつマイカー通勤の通勤手当が毎月1万円弱支給される事を喜んでいました。

◆支給を受けた事がないマイカー通勤手当

プラス思考はいいものだ…などと思いながら話を続けていましたが、電話を切った後に「マイカー通勤手当」というものの存在が気になり始めました。

マイカー通勤手当という手当が存在していることは何となく把握しております。

しかし私は、過去に勤めていた会社や自分で経営している会社からマイカー通勤手当という名目の手当金の支給を受けた事はありません。

もし、そんな手当が少しでも貰えるのであればありがたい話です。

◆通勤手当は非課税の手当金

結論から言えば、自分で事務所を構えている場合の事務所までの交通費については役員であっても「通勤手当」を支給することは可能でした。

これは別に驚きもしないことで想定していた範囲内ではあります。

税理士がこの仕組みを教えてくれなかったのは、やはり会社の決算が赤字続きであった為、節税どころではないといったところだと思います。

しかし、通勤手当について何となく調べてみた中で最も驚いたのは、一定範囲までの金額に関しては非課税扱いになるという点でした。

非課税扱いとは、所得税や住民税の税額を計算する際の給与所得控除などの各種控除を差し引いた後の税金計算のベースとなる「課税所得」に加算しない扱いのこと。

要は、無税で純粋に個人の収入とできる手当金という事になります。

非課税所得とは?【図】

現在まで、一度も使った事がないこの通勤手当という非課税収入。

例え僅かな金額であったとしても法的に認められた正攻法の節税手法ともなるため、もし自分も利用できるのであれば利用したいので早速通勤手当について税理士に確認してみました。

◆資産管理法人の設立を検討しているなら

不動産投資をこれから実践しようと考えている方の中には、最終的に「資産保有法人」「資産管理法人」を設立する等して、個人ではなく法人で物件を保有、もしくは管理する事を最初から検討している方も多いのではないでしょうか?

不動産投資を行う際に会社を設立しておくメリットについては、不動産投資に関する多くの書籍で紹介されておりますが、確かに数多くのメリットが存在します。

私自身も最終的には不動産投資専用の法人を立ち上げ不動産を保有する方向で不動産投資を実践していきたいと考えておりますし、その具体的な方法やメリットだけでなくデメリットについても学習中の段階です。

事業として不動産投資を行うのであれば、やはり最終的にプロパー融資を受けられる状態を目指すことは当然です。

またまた、話がそれてしまいました。要は将来的に法人の設立をする場合は、どのような会社であっても通勤手当の支給を行う事ができるという事です。

ですから、この通勤手当に関しては、サラリーマンから独立して会社を立ち上げようと考えている方であれば誰でも利用できる手当金であるため会社設立当初からしっかりマイカー通勤規定を作成し導入しておくことをおすすめします。

◆マイカー通勤手当の支給の仕方

ここからは独立後にマイカー通勤手当を支給する方法について確認しておくとしましょう。

自分が代表となっている会社から、あなたが役員個人としてマイカー通勤手当の支給を受ける場合は、就業規則に通勤手当に関する規定を盛り込む必要があります。

就業規則には一般的に通勤距離に対する金額を明記する事になります。現実的には就業規則内に通勤手当に関する項目を設けるだけで支給を開始することが可能となる訳です。

もし通勤手当規定を準備していない場合は、設立時に作成しておくと良いでしょう。

◆実はいつでも支給が可能だったというオチ

尚、自分の会社では、税理士さんに就業規則を作ってもらっておりましたが、税理士が作成していたマイカー通勤手当規定には既に通勤距離ごとの通勤手当支給が決定されていました。

と言っても、この規定は国税庁が定める非課税範囲に沿ったありきたりのフォーマットに基づくもの。

しかし、当時就業規則というもの自体もよく把握していなかった自分にとっては「さすが税理士さん」と感心したものです。

今までは通勤手当なるものを受けた事はありませんでしたが、実際はいつでも支給が可能であったと言うことになります。

もし、これから自分で就業規則を作成する場合は、就業規則に通勤手当という項目を作成し距離などの基準を設定し支給金額を決めておくと良いでしょう。

◆通勤手当の非課税枠

マイカー通勤や電車・バスなどの交通機関で通勤手当を支給する場合は、通勤手当に関する所得税の非課税限度額について確認しておくことが大切です。

先日、自社の就業規則を自分なりに改めて作成してみよと考えていたため、近所のTSUTAYAで就業規則や社内規定のモデルを掲載している書籍を購入しました。(著者は岡田良則さんと桑原彰子さんの共著)

通勤手当のコラムでは、国税庁が定める通勤手当の非課税枠について、JRやバスなどの公共交通機関での通勤に関しては1ヶ月あたり10万円までが非課税範囲。

そしてマイカー通勤の場合は、通勤距離別で非課税限度額が決められており、以下の通勤手当が非課税限度額と記載してありました。

【マイカー通勤者の非課税となる1か月当たりの限度額の表】
片道の通勤距離1か月当たりの限度額
2km未満全額
2km~10km4,200円
10km~15km7,100円
15km~25km12,900円
25km~35km18,700円
35km~45km24,400円
45km~55km28,000円
55km以上31,600円

尚、国税庁のホームページも確認しましたが、やはり通勤手当は非課税限度額内であれば合法的に節税できる手当金である事が記されておりました。

◆自宅から事務所までの距離は約7km

自分の場合は、広めのマンションの一室を法人名義で賃貸借りし事務所として利用しております。

この物件は、もともとオフィス利用の多い物件で一応バスルームなどもあるが使用したことはありません。

グローバル化が進みSOHOビジネスが急成長している現在ではこのようなスタイルの賃貸住宅を持つのもひとつの手と考えられます。

尚、自宅から事務所までの距離は約7kmであるため、上の一覧で言えば2km~10kmまでに該当し、毎月4200円までの交通費は非課税で支給を受けることが可能となります。

4200円と言えば確かに小さな金額かもしれません。

しかし、例え小さな金額であったとしても、年間で言えば50400円もの金額となるため軽視できない金額です。

もちろん今まで通勤手当の支給を受けて来なかった事をとても後悔しております。

◆就業規則は自分で作成するのがベスト

法人の設立をこれから検討している方は、就業規則を自分で作成することが大切であると今では断言できます。

特に、自分一人のオーナー会社を設立する場合や、家族従業員のみの同族会社を設立する場合など身内だけの少人数で会社を運営していくことを検討している場合は、特に自社専用の就業規則の作成をしておくと後々便利です。

一般的に会社を設立した際は税理士や会計士と顧問契約を結ぶ事になります。

しかし、税理士が所有している就業規則は小規模会社に適さない内容となっているものも多くあり実用的では無い文言も多くあります。

また仮に顧問契約をしていてもせっかく利用できる節税方法を指導してくれるとも限りません。

個人としては多少赤字が膨らんだとしても非課税収入は得ておきたいと考える方もいるでしょう。

しかし、税理士さんの視点では長期的に安定した経営状態を作り上げるために経費の削減を考えている場合もあるかと思います。

そういった視点の違いを埋めていく為にも、小規模企業の社長は就業規則を自分で作成し内容を把握した段階で相談できるようにしておくべきであると思います。

◆適切なアドバイスを得られるよう成長する

自分の場合の話しですが、税理士さんとは長年の付き合いもあり、やや親密なお付き合いとなってきております。

しかし、「これは重要!」と思えるアドバイスを税理士さんから提示された事は残念ながら一度もありません。

全て、自分が調べていくうちに気になり始め、こちらからアクションを起こして初めて動くといった感じです。

これは関係が悪いのか?それとも税理士の実力がないのか?色んな考えがあると思います。

しかし、現在の自分の考えとしては、そもそも「税理士がアドバイスを与えられる段階にまで自分が来ていない」というのが理由であると考えるようにしています。

この考え方はアマゾンのビジネス書ランキングでは今も尚、定期的にランクインしているかの有名な「金持ち父さん貧乏父さん」の著者であるロバートキヨサキ氏の書籍から影響を受けています。

独立し少しずつ経験を積みあげていく中で書籍内に書いてあった内容が徐々に理解できるようになってきたのも大きいです。

ロバートキヨサキ氏は、最終的に自分の成長に合わせて顧問税理士や投資チームのメンバーを変え個人とチーム双方の成長を達成しています。

私も次のステージに登る際はチーム編成を変えて行かなければいけない時が来るでしょう。

しかし、その時が訪れるまでは常に自分でも学習を続けていくことが大切であると考えております。

◆会社設立当初から通勤手当を受給する

個人的な見解としては非課税収入は会社経営が安定してから得るといった時間をかけるべきものではありません。

削るべき経費はもっと他にあります。

もし将来的に会社経営や不動産投資を行う予定の方は現金のショートは最大のリスクともなるため、個人の現金に関する項目に関してはシビアに向き合うことが重要です。

会社の倒産は『現金がショートした時』におこります。黒字でさえも倒産する時は倒産する訳です。

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個人の現金があれば凌げたかもしれない場面でも、現金が無くては対応できません。これは経験からも言えます。

そのため、通勤手当などの手当金に関しては会社の設立当初からしっかり支給を受ける体制を整えておくことが大切です。

その上においても、就業規則などの社内規程に関する学習を積んでおくことは決して無駄にはならないと言えます。