株式会社と合同会社の設立費用・利点と欠点

社長・経営者の為の入門知識

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◆株式会社と合同会社の設立費用・利点と欠点の解説(目次)

◆株式会社と同号会社の利点

 経営者・社長になる前の準備段階の知識である法人の設立に関する基本的な仕組みとして、以前の記事では株式会社と持分会社の種類と責任範囲について解説しました。

 この中で現在、最も設立数が上昇している合同会社と従来から信用力が高く会社形態の中でも最も人気の高い株式会社のいずれかの形態で法人の設立を検討してみようと思われた方は多いのではないでしょうか?

 株式会社と合同会社は双方とも責任範囲は出資金の範囲内、いわゆる有限責任であるという点が安全性という面でも大きな利点として考えられる為です。

株式会社と同号会社の利点【図】

 ビジネスにリスクはつきものでもありますから、個人の財産にまで債務が及ぶ無限責任社員として最初から活動を行うのはやはり不安が拭えないものです。

◆決算・法人税・資本金の比較

 株式会社と合同会社は出資範囲内の有限責任であるという利点は長期的に営業活動を続けていく上では大きな利点となり得ます。

 しかし、どちらの形態であっても法人として設立を行う事になるため、決算月を設定し決算を行う義務があり、営業利益が発生した場合は法人税や法人としての住民税、事業税が発生します。(仮に赤字であっても年間71000円の税金が発生します)

 また、営利活動を目的とする事務所などの賃貸借契約を締結する場合や営業活動の運転資金として銀行などの金融機関と会社名義で契約業務を行うことができる点も変わりありません。(※融資に関しては後述あり)

会社組織としての共通点【図】

 資本金に関してもどちらも最低資本金である1円から法人の設立が可能であり株式会社と合同会社では多くの点で共通する項目も多いというのがひとつの特徴です。

◆会社会社と合同会社のメリット・デメリット

 株式会社と合同会社は前述したように同等の共通条件となる部分も多くありますが、ここでは株式会社と合同会社の違いに焦点を合わせて考えてみましょう。

 株式会社と合同会社の代表的な違いは大きく分類すると以下の「設立費用」「譲渡性」「資金調達」「信用性及び認知度」の4つの違いに分類することが可能です。

株式会社と合同会社の違い【図】

 この違いが双方のメリット・デメリットとしても考えられる為、会社の設立時にはこれらの違いを比較しながら自分ん適した法人の形態を選択していくことが重要となります。

①設立費用の違い

 株式会社の設立費用と合同会社の設立費用は、税金面と定期認証の部分で大きく異なります。

 ここではまず簡潔に会社設立時にかかる項目ごとの費用を確認しましょう。

株式会社と合同会社の設立費用【図】

 上図は株式会社及び合同会社を設立する際にかかる最低限の設立費用です。

 株式会社の設立では作成した定款(ていかん)に関して公証役場の認証を受けることが義務付けられておりますが合同会社では公証役場の定款の認証を受ける義務がありません。

 定款の認証を受けるには手数料として50000円の費用が発生する為、合同会社の場合は定款認証にかかる手数料がかからないメリットがあると言えます。

 また定款の認証に伴い発生する収入印紙代に関しても株式会社は40000円の印紙代を必要とします。

 登録免許税に関しても株式会社の設立に関しては一律15万円の登録免許税がかかるのに対し、合同会社設立にかかる登録免許税は60000円です。

 その為、法人設立費用としては税金面では合同会社の登録免許税6万円に対して株式会社が登録免許税と印紙税を合わせた19万円が必要となり税金面だけでも13万円の違いが生まれます。

 定款認証の手数料50000円と合わせると同じ有限責任である法人組織でありながら株式会社の場合は合同会社と比較すると設立費用だけで18万円多く必要になることがわかります。

 尚、これらの費用は会社設立にかかる最低限の費用であり、資本金や書類作成にかかる司法書士などの手数料、開業時の運転資金(これは資本金で賄う事が可能)、賃貸事務所の敷金、前家賃、仲介手数料、税理士顧問料などは含まれておりません。

②譲渡性について

 この譲渡性に関しては株式会社と持分会社による性質の違いでもあることから、合同会社だけでなく、「合名会社」「合資会社」に関しても同じです。

 株式会社は別途社内規約等で制限を設定している場合を除き、個人が保有する株式を自由に譲渡することが可能です。

 これは、後継人となる息子へ事業を譲渡、継承する際にも利便性が高いというメリットになりますが、民法上の組合組織に近い合同会社では持分の譲渡に関して出資者全員の合意が必要となります。

③資金調達について

 資金調達に関しても株式会社の場合は新しい株主を募集して広く資金調達を行う事が可能ですが、合同会社の場合は「出資者と経営者が一致」している為、現実的に市場から幅広い資金調達を行うのは困難であるというのが現状と言えるかもしれません。

 後述する信用面などの面も含め金融機関からの融資に関しても株式会社の方が有利に働くケースが多く、持分会社の閉鎖的なイメージが資金調達を行う際に欠点となり得る要素を持っていることは否めません。

④信用性・認知度について

 株式会社と合同会社の最大の違いであり、株式会社の最大の利点とも言える点が、この信用性、認知度に関わる部分であると言えるかもしれません。

 現在の日本の会社法では株式会社の設立にあたり、資本金は1円から、取締役も1名から可能となっておりますが、以前は最低でも資本金が1000万円、取締役が4名以上が株式会社設立の条件となっていた時代があります。

 新規起業にあたり、株式会社はこの敷居の高さが大きな信用力となっていた経緯があります。

 この株式会社に対する認知度の高さ、信用力は今でも色濃く残っている部分があり、会社間の取引においても株式会社という名称がつくだけで有利に働く部分が未だに確実に残っております。

 また、アメリカのLLCの人気に乗り「日本版LLC」として人気が高くなってきた合同会社ではありますが、現実的には合同会社の存在すら知らない企業経営者が多いという事実は合同会社の大きなデメリットと言わざるおえません。

 株式会社と共通の条件も多く、同様の法人組織である点を自分がどれだけ把握していたとしても、取引を行う相手が同様に考えているということはまずありません。

 日本では2006年の5月1日に初めて会社形態のひとつとして合同会社が認可されましたが、会社の形態としてはまだ歴史が浅く株式会社と比較すると圧倒的に認知度が低い会社形態である事実を把握しておく事は重要です。